あなたは去年の明日、
あなたは去年の明日、寒い朝、冷たい土の上に横たわる。
あなたの家族も友達も知らない間に、たった一人で横たわる。
去年の明日、あなたは死ぬ。
たった一人で。
その後、あなたを追悼する言葉が飛び交い、活字になった。
あなたを追悼する本が二冊も出た。
素晴らしい本だったけれど、楽しくなかった。
友愛に満ち溢れた言葉なのに、全く満たされなかった。
あなたが、物理的に失われているからだ。
精神的なもののなんと無力なことだろう。
失われているものに向かって投げかける言葉。
致し方ない。
去年の明日、あなたは死ぬ。
去年の今日、あなたは自分が死ぬとは思っても見なかっただろう。
だが、明日、死ぬ。
去年の今日のあなたのことを夢想する。
死の前日。
穏やかな平凡な日。
そして明日。
明日、死ぬ、その去年の今日。
わたしの中で動いているのは、去年の今日のあなたの姿だ。
去年の明日からは、動かない。