あなたは去年の明日、

Ray-Ray2007-01-26


あなたは去年の明日、寒い朝、冷たい土の上に横たわる。

あなたの家族も友達も知らない間に、たった一人で横たわる。

去年の明日、あなたは死ぬ。
たった一人で。



その後、あなたを追悼する言葉が飛び交い、活字になった。

あなたを追悼する本が二冊も出た。

素晴らしい本だったけれど、楽しくなかった。

友愛に満ち溢れた言葉なのに、全く満たされなかった。

あなたが、物理的に失われているからだ。

精神的なもののなんと無力なことだろう。

失われているものに向かって投げかける言葉。

致し方ない。



去年の明日、あなたは死ぬ。

去年の今日、あなたは自分が死ぬとは思っても見なかっただろう。

だが、明日、死ぬ。




去年の今日のあなたのことを夢想する。

死の前日。

穏やかな平凡な日。

そして明日。


明日、死ぬ、その去年の今日。

わたしの中で動いているのは、去年の今日のあなたの姿だ。

去年の明日からは、動かない。